お墓のQRコードとは、墓石やその台座に貼り付ける三〜五センチほどの小さな四角です。 スマートフォンで読み取ると、そこに眠る方についてのページが開きます。
注文する前に決めることが二つあります。誰に断るのか、そして何でできているのかです。
まず墓地の規約を確認する
ここを飛ばすご家族が多く、そして費用が二度かかる可能性があるのはここだけです。
日本の墓地は、寺院墓地、公営霊園、民営霊園で管理の考え方がまったく違います。 公営霊園は使用規則が公開されていることが多く、墓石の形状や高さについては細かい 一方、小物の取り付けには寛容な場合があります。寺院墓地では、墓石への加工は まず住職に相談するのが筋です。民営霊園は管理会社の規約次第で、石材店が指定されて いることもあります。
聞き方は具体的にしてください。「墓石または外柵に小さなシール状のプレートを 貼ってよいか」「届け出は必要か」。石材店がついている場合は、たいていすでに 答えを知っています。
どこに貼るか
読み取りやすさの順に三か所。
台座(芝台)。 低い位置にあり、二メートル離れれば目に入らず、スマートフォンを 近づけやすい。もっとも選ばれ、もっとも具合がよい場所です。
外柵の内側。 外柵があるお墓なら、内側の面は雨風が当たりにくく、 竿石の彫刻にも触れません。
竿石の裏面。 正面に手を加えたくない場合に。ただし欠点は明らかで、 そこにあると知らない人は永遠に気づきません。
戒名や家名の彫刻に重ねるのは避けてください。名前は石が引き受けます。 QRコードは、石が抱えきれないものを引き受けます。
屋外で何年もつか
正直に申し上げると、素材次第で、その差はとても大きいものです。
家庭用プリンターのシールはひと冬もちません。UVカット加工のラミネート ポリエステルなら数年はもちますが、真南を向いた墓石では、木陰の墓石より 早く色が抜けます。日本の気候でとくに効くのは夏の直射日光と、冬の凍結です。 凍結が傷めるのはインクよりも粘着剤で、一月に水を含んだものは三月に角から 浮いてきます。
ですから、カタログの年数よりも無償で交換してもらえるかどうかのほうが 大事です。三年で読めなくなっても無料で取り替えられる台紙のほうが、 十年と書いてあって連絡先が消えている台紙よりも確実です。
彫刻という選択
石材店に頼めば、QRコードを墓石に直接彫る、あるいはステンレス板にレーザーで 刻むこともできます。石が残るかぎり残ります。
ただし、あまり語られない欠点があります。彫ったコードは変更できません。 一つのアドレスを永久に指し続けます。事業者がなくなったり、ページが移転したり すれば、彫刻はどこにもつながらなくなり、直す方法は墓石を作り直すことだけです。
シールは貼り替えられます。これは弱点ではなく、利点です。
その先に何を置くか
QRコードそのものは、この計画でいちばん簡単な決めごとです。むずかしいのは、 その先のページのほうです。
没年月日と写真一枚では、お墓まで足を運んだ甲斐がありません。人の心に残るのは、 ほかの誰も書き残さなかったことです。お茶の淹れ方の癖、別れぎわに必ず言った ひとこと、押し入れの箱に入ったまま誰の目にも触れない写真。
それは一日で集まるものではありませんし、集める必要もありません。 リンクが人から人へ渡っていくうちに集まります。みなさんがまだあの方のことを はっきり覚えているいまのほうが、ずっと集まりやすいものです。



