手元供養とは、遺骨の一部を自宅に置いて手を合わせる形です。お墓に納めない、 という意味ではありません。多くのご家庭は、お墓にも納め、ごく一部を手元に 残します。
選ばれる理由はさまざまです。お墓が遠い。お墓を持たないことにした。 配偶者を見送って、まだ手放す気持ちになれない。どれも十分な理由です。
まず分骨証明書
手続きのなかで、あとから取り返しがつかなくなるのはここだけです。
火葬のときに分ける場合は、火葬場でその場で分骨証明書を出してもらえます。 葬儀社に事前に伝えておけば、骨壺も小さいものを一つ用意してくれます。
すでに納骨したお墓から取り出す場合は、墓地の管理者に分骨証明書を 発行してもらいます。寺院墓地では、あわせて閉眼供養と開眼供養をお願いする のが一般的です。
手元に置いておくだけなら書類はなくても差し支えありません。問題は先のことで、 十年後にその遺骨を納骨堂に納めたくなったとき、証明書がないと受け入れて もらえないことがあります。もらうのは一度、なくして困るのは一度きりです。
置き方
ミニ骨壺。 三〜八センチほどの小さな骨壺。陶器、真鍮、ガラス。 仏壇のなか、あるいはリビングの棚に置きます。
遺骨ペンダント。 ごく少量を納めて身につけるもの。旅行や入院のときに 連れていけるのが、選ばれる理由としてよく挙がります。
遺骨を納めた仏具・オブジェ。 お位牌と一体になったもの、写真立てと 組み合わせたもの。仏壇を置かないご家庭で選ばれます。
置き場所に決まりはありません。ただ、直射日光と湿気は避けてください。 桐箱や密閉できる骨壺が使われるのは、湿気対策のためです。
家族で決めておくこと
ここが、手元供養でいちばん後回しにされ、いちばん揉めるところです。
手元供養は、いま持っている人にとっての形です。その人がいなくなったあと、 その骨壺をどうするのかは、決めておかないと次の世代が決められません。 残された家族が「捨てるわけにいかない、どうしたらいいかわからない」と 抱え込む例が実際にあります。
決め方は二つです。行き先を決めておく——最終的にはこのお墓に、この 納骨堂に納める、と書き残しておく。あるいは任せる範囲を決めておく—— そのときの家族が決めてよい、と言い残しておく。どちらでも構いません。 何も言わないことだけが、いちばん重い形で残ります。
記録も一緒に
骨壺は、置いてある場所を知っている人にしか意味が伝わりません。
写真、生前のお話、いつ・どこで分骨したのか。それを遺骨とは別のところに 残しておくと、先々ずっと楽になります。二代あとの家族が棚の小さな壷を 見つけたとき、それが誰なのかがわかるかどうか。分かれ目はそこだけです。


