訃報は事務の文書です。気持ちを書く場所ではありません——気持ちを書くのは 弔辞と挨拶状です。
ここで必要なのは、受け取った人が来られるかどうかを判断できることだけ です。
入れる七項目
- 故人のお名前と、受け取る人との関係(「父」「弊社○○部の」)。 年齢は入れるのが通例です。
- 亡くなった日。「○月○日 永眠いたしました」。
- 通夜の日時。
- 葬儀・告別式の日時。
- 式場の名前・住所・電話番号。これが一番見られる部分です。 地図のリンクか、最寄り駅を添えると親切です。
- 宗派。焼香の作法が変わるので、入っていると助かります。
- 喪主のお名前と続柄。そして連絡先。
香典や供花を辞退する場合は、その一文。これが八つ目で、 入れ忘れるといちばん後が大変になります。
雛形:参列をお願いする場合
父 山田 太郎(八十四歳)が 九月二十八日 永眠いたしました
ここに生前のご厚誼を深謝し 謹んでご通知申し上げます
通夜 十月一日(水)午後六時より 葬儀 十月二日(木)午前十一時より
式場 ○○会館(○○市○○町一丁目二番三号) 電話 ○○○○-○○-○○○○ ○○線○○駅より徒歩五分
宗派 浄土真宗
喪主 山田 一郎(長男) 連絡先 ○○○-○○○○-○○○○
雛形:家族葬で、参列を辞退する場合
⚠️ この場合は日時と式場を書きません。 書くと、辞退したはずの参列者が 来ます。
母 山田 和子(八十四歳)が 九月二十八日 永眠いたしました
葬儀は故人の遺志により 家族のみで執り行います
誠に勝手ながら ご弔問 御香典 御供花は謹んで辞退申し上げます
生前のご厚誼に深く感謝申し上げます
喪主 山田 一郎(長男)
**「故人の遺志により」**という一言が効きます。ご家族の判断ではなく故人の 希望だと示すことで、押し返す人がいなくなります。
句読点を打たない慣習
⚠️ 正式な訃報と挨拶状には、句読点を打たない慣習があります。 上の雛形が そうなっているのは、そのためです。
理由は二つ伝えられています——文章が途切れないようにという意味と、もともと 毛筆の文書に句読点がなかったという来歴。
知らないと「読みにくい」と思って直してしまうところです。LINEやメールの 略式の連絡では普通に句読点を使ってかまいません。正式な会葬礼状・挨拶状 では打たないのが無難です。
忌み言葉
🔴 避ける言葉:重ね重ね、たびたび、再び、追って、続く、わざわざ、 くれぐれも、いよいよ、ますます。
不幸が繰り返すことを連想させる言葉で、重ね言葉が特に避けられます。
**そして「死去」「死亡」より「永眠」「逝去」**が訃報の言葉です。 「ご逝去」は他の方の死に使い、身内には「永眠」を使います。宗派によっては 「往生」(浄土真宗)を使います。
弔辞のほうの忌み言葉は 弔辞の書き方に詳しく書きました。
経路ごとの違い
職場。 直属の上司に電話で先に。そのあと総務に書面またはメールで。 忌引きの日数と香典・供花の社内規定を同時に確認してください。
親族。 電話が先です。年長の方には文字だけで済ませないこと。
友人・知人。 LINEのグループが実際にいちばん確実です。略式でよく、 句読点も普通に使います。
近所。 町内会・自治会に伝えると回覧や掲示で広がります。地域によっては これが最も届く経路です。
新聞のお悔やみ欄。 地方紙にはあり、無料または安価です。 ⚠️ ただし掲載すると日時と住所が公開されます。 葬儀中の空き巣は実際に 起きているので、家族葬の場合は載せないほうが安全です。同じ理由で、 SNSの公開投稿にも日時を書かないでください。
年賀状のやりとりがある方。 訃報とは別に喪中はがきを十二月初めまでに。 年を越したら寒中見舞いで伝えます。
葬儀のあとの挨拶状
香典をいただいた方には、四十九日の忌明けに挨拶状を出します。これは訃報 とは別の文書で、葬儀のあとのお礼に 書きました。
訃報は一度きり、ページは残る
訃報は数日のための文書です。式が終われば役目を終えます。
そして届かなかった方、来られなかった方、あとで知った方が必ずいます。 追悼ページに一行のリンクを添えておくと、そこが残ります—— 写真、短い文章、そして来られなかった方がアカウントなしで一言を置ける場所。
いちばん早く消えるのは訃報の文面ではなく、その方についての話です。 職場の同僚が覚えている一場面、近所の方が知っている一面。ご家族が知らない ものがいちばん多く、いちばん早く消えます。
追悼のかたち全体は まとめのページに。



