SNSで伝えることそのものに問題はありません。問題はほとんど常に順番です。
順番、これだけは
一、近親者に電話で。 配偶者、子、兄弟姉妹、ご本人がとくに親しくしていた 方。文字ではなく声で、そして公開の投稿より先に。
🔴 身内がSNSで知るのが、いちばん長く残る傷です。 「電話がなかった」は 何年も言われます。悪意ではなく、ただ忙しくて手が回らなかっただけなのに、 そう受け取られません。
二、職場と近い関係の方にLINEや電話で。 LINEは日本ではもう普通の訃報の 経路です。グループに一度流せば済むので、最も確実です。
三、それから公開の投稿。 ここまで来てからです。
家族葬なら、投稿も葬儀のあと
日本では家族葬が多数派になりました。そして家族葬の作法は、事後報告 です——葬儀を終えてから、来られなかった方に知らせる。
ですからSNSに書くのも、普通は葬儀後になります。先に公開すると、辞退した はずの参列や香典が届き、ご家族が一件ずつ断ることになります。喪主がいちばん 疲れている時間に、です。
⚠️ 年末が近い場合は、別の経路が先にあります。 喪中はがき(年賀欠礼 状)を十二月初めまでに出すのが本来の知らせ方で、年を越してしまったときは 寒中見舞いで伝えます。SNSはこれを置き換えません。年賀状のやりとりがある 方には、はがきが要ります。
公開の投稿に書かないこと
🔴 葬儀の日時と場所。 これは見落とされがちな実害です。公開の投稿は 家が留守になる日時を知らせます。葬儀中の空き巣は日本で実際に起きていて、 警察も注意を呼びかけています。日時が必要な方には個別に送ってください。
ご自宅の住所。 同じ理由です。
死因の詳細。 書く義務はありません。そして一度書いたものは消せません。
ほかのご家族の名前や写真を、本人に聞かずに。とくにお子さんの顔。
何を書くか——短いほうがよい
四つで足ります。
- お名前と、ご本人を特定できる一言(「母の」「○○でお世話になった」)。
- 亡くなった日。
- 葬儀は済んだこと、または家族葬で執り行う旨。
- 香典・供花・弔問の辞退、あるいは受ける旨。
母 山田 和子が、九月二十八日に亡くなりました。八十四歳でした。
葬儀は家族のみで済ませました。生前に母がお世話になった皆さまに、 この場でお礼を申し上げます。
誠に勝手ながら、御香典・御供花は辞退させていただきます。
⚠️ 辞退するなら、必ず書いてください。 書かなければ届きます。そして届いた 香典には香典返しが必要になり、 四十九日の時期に一件ずつ手配することになります。
コメントと「いいね」への対応
全部に返さなくてよいです。 そしてそれを一言書いてしまってかまいません ——「お返事が遅くなります」。これだけで、返せない罪悪感がかなり減ります。
荒れることが時々あります。 無関係な方の心ない一言、宗教の勧め、商売の DM。コメントを閉じることは失礼ではありません。
どの経路が何に向いているか
| 経路 | 向いているもの |
|---|---|
| 電話 | 近親者。例外なし |
| LINE | 職場、友人、親族のグループ |
| 喪中はがき/寒中見舞い | 年賀状のやりとりがある方 |
| SNSの公開投稿 | つながりが広く、個別に伝えきれない場合 |
| 挨拶状 | 香典をいただいた方への事後報告 |
訃報そのものの文面を探している方は 訃報の書き方に、お悔やみの返事を 書く側の方は お悔やみメッセージの書き方に。
投稿は流れていきます
SNSの投稿は数日で流れます。半年後に探しても出てきません。そして集まった コメント——「お世話になりました」「あの話を覚えています」——も一緒に流れます。
そこに残る形を与えるものが追悼ページです。一人に一つのページ、 ご家族が写真・動画・文章を足していけて、来られなかった方がアカウントなしで 一言を残せます。SNSの投稿にその一行のリンクを置けば、数日で流れるものが 残るものになります。
そして流れたコメントのなかで、いちばん価値があるのはその方を知らなかった 家族が知らない話です。職場の同僚が書く一行、近所の方が覚えている一場面。 それが二世代でいちばん早く消えるものです。
追悼のかたち全体は まとめのページに。



