はじめての年末年始は、早めに、家族で話して、今年をどうするかを決めておくと、ずっと過ごしやすくなります。いつもどおりに集まるか、小さくするか、場所を変えるか。どれが正しいということはありません。つらいのは、話し合わないまま流されることです。そのうえで、故人の席、子どもへの伝え方、故人のための小さなことを決めます。誘いを断る権利は、誰にでもあります。
まず喪中はがき
年末年始の準備のなかで、最初に期限が来るのがこれです。亡くなった年の年末には年賀状を出さず、喪中はがき(年賀欠礼状)で新年の挨拶を控えることを知らせます。相手が年賀状を用意する前に届くよう、十一月中から十二月上旬に出すのが目安です。
出す相手は、ふだん年賀状をやりとりしている方です。亡くなった方とつきあいのあった方にも、その方の年賀状の束を見て出すことがあります。十二月に入ってから亡くなった場合や、間に合わなかった場合は、松の内が明けてから寒中見舞いで知らせれば十分です。
文面は短く、誰がいつ亡くなったかと、年頭の挨拶を控えるという一文、これまでのお礼で足ります。
お正月を祝うか、小さくするか、場所を変えるか
喪中のお正月は、門松やしめ飾り、鏡餅などの飾りつけ、おせちの祝い肴、「あけましておめでとう」の挨拶、神社への初詣を控えるのが一般的です。お寺へのお参りは差し支えないとされます。ただ、どこまで控えるかは家庭によって大きく違い、決まりがあるわけではありません。
そのうえで、選べる形は三つです。
- いつもどおりに集まる。 同じ家で、同じ顔ぶれで。何かが変わらずにあることが支えになる人もいます。ただ、全員が平気なふりをして、誰も口に出さないまま不在が一晩じゅう座の真ん中に居すわる、ということも起こります。
- 小さくする。 集まる人数を減らす、時間を短くする、おせちを少しだけにする。これがいちばん無理のない落としどころになることが多いです。
- 場所を変える。 ほかの家族の家に集まる、外で食事をする、旅先で過ごす。空いた席がいちばん目に入る部屋を避けられます。逃げではありません。翌年には家に戻ってもかまいません。
今年決めたことは、来年を縛りません。二年目に形を変える家族はたくさんあります。
誰が決めるか、いつ話すか
十二月に入る前に。大晦日の前日に電話で、ではなく。いちばん大きく暮らしが変わったのは、故人と一緒に暮らしていた方です。最後に決めるのはたいていその方ですが、ほかの家族にも、何がつらそうか、何を残したいかを聞いてみてください。答えは意外なことが多いものです。
いちばんつらいのが配偶者の場合は、「気が紛れるから」と無理に誘わず、本人に選んでもらってください。配偶者を亡くしてもあわせてどうぞ。
ひとつ決まりを作ると楽になります。誰でも、理由を言わずに「これはしたくない」と言ってよい。あとはそこから組み立てます。
空いた席
食卓を整えるときではなく、その前に決めておきたいことです。
- 席を残す。 箸や湯のみ、写真を置いて。その方を招く形だと感じる人もいれば、とても耐えられないと感じる人もいます。聞いてみてください。
- 詰める。 席を詰める、あるいはその日ひとりで過ごすはずだった誰かを招く。席は空かず、集まりの中心も変わります。
- 食卓そのものを変える。 部屋を変える、座る順番を変える。問いの重さが変わります。
どの形でも、食卓でその方の話をしてはいけない、ということはありません。食後に一つ思い出を話すほうが、二時間の礼儀正しい沈黙よりずっと救いになることがあります。
子どもはお正月を楽しみにしている
子どもは、朝に泣いていても、夜にはお年玉を楽しみにしています。冷たいのでも、忘れたのでもありません。それが子どもの年齢です。お年玉や、子どもが知っているお正月の過ごし方は、そのまま残してあげてください。喪中でもお年玉は渡してよいとされ、ぽち袋を無地のものにする、「お小遣い」として渡すといった気づかいをする家庭もあります。
何がいつもと違うのか、なぜなのかを、前もって短い言葉で伝えておきます。その日に故人のことを聞かれたら、答えてあげてください。子どもに死をどう伝えるかの考え方は、何か月たっても使えます。
故人のための小さなこと
多くの家族は、その方が何らかの形でそこにいてほしいと感じます。選んでも、選ばなくてもかまいません。
- 仏壇に年越しそばやお雑煮を供える。 祝いの飾りは控えても、ふだんどおりのお供えはしてかまいません。
- 思い出を一つずつ話す。 一緒に過ごした年末年始のことを、一人ひとつずつ。
- その方の味をつくる。 その方が作っていた料理、毎年楽しみにしていたもの。
- 年末にお墓参りをする。 お墓をきれいにして新しい年を迎える家庭は多く、喪中でも変わりません。
- ろうそくや線香を灯す。 食事の前に、何も言わずに。ろうそくと線香を灯すにいろいろな場面を書いています。
一つで十分です。命日が年末年始の近くにある場合は、二つの日が重なります。命日に何をするかもご覧ください。
贈り物
二つの問いがよく出ます。お歳暮は贈ってよいか。 お歳暮は一年のお礼で祝い事ではないので、喪中でも贈ってかまわないとされます。気になる場合は、紅白の水引を避けて無地の掛け紙にします。故人が毎年贈っていた相手はどうするか。 今年で区切りにする家もあれば、その方の名前を添えて一度だけ続ける家もあります。
形見分けを四十九日のあとに済ませていれば、その方の時計や本、使っていた道具を、この時期に家族の誰かへ渡す家庭もあります。あとから思い出すのは、たいていそういう贈り物です。
断る権利
忘年会、新年会、友人の集まり、親戚の挨拶回り。誘いは届きます。断ってかまいません。理由を言わなくても、顔だけ出して早めに帰ってもかまいません。「まだそういう気持ちになれなくて。声をかけてくれてありがとう」で十分です。誘った側は、ほとんどの場合わかってくれます。
この時期につらさが重くなりすぎたら、かかりつけの医師に相談してください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話やSNSで話を聞いてもらえる相談窓口がまとめられています。
はじめの一年のほかの節目は、追悼のしかたにまとめています。



